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■「さよならtoday」の録音に入る前のお話
矢口博康氏のプロフィールを見ると、「Bye Bye My Love/サザンオールスターズ」のアレンジ
や、様々なグループのライブ&レコーディングなど、日本のPOPSシーンで大活躍されているよ うです。私の所有する赤川新一氏録音のアルバムでも、そのサックスを聴くことができました。 矢口氏のサックスは、自己主張の強いパワープレイというよりは、さりげないワンフレーズや歌 心溢れるプレイが魅力。"笑うサックスの異名も持つ"とのことですが、なるほど納得させられま す。
しかし、FINEQ新譜としてどのようなアルバムが製作されるのか、さっぱり予想がつきません。
ヒントになりそうな矢口氏の前作「Gastronomic」は現在廃盤。矢口氏の参加するバンドのCDを 購入してみましたが、どうも今回製作中のアルバムとは少し方向性が違うようです。
プリプロ、デモテープ、リハーサルのない一発勝負のレコーディングですから、完成するまで全
くその新譜の全貌は掴めなかったのでした。
出来上がった12曲を聴くと、そんな私の不安は一蹴。FINEQ-SACD第1弾「さよならtoday」
は、私自身もお気に入りの1枚となりました。
■「さよならtoday」のオーディオ的3分割
このソフトは、意図せずして面白い3つのオーディオ的グループ分けができてしまいました。
その1:
Protools HD を使いPCM192kHz/24bitで録音された、ARTWORKS STUDIOセッション。
1・3・9・10曲目です。
その2:
PyramixでDSD 8チャンネル・マルチレコーディングされた、パーシモンホール・セッション。
4・6・8曲目です。
その3:
PyramixでDSD 16チャンネル・マルチレコーディングされた、STRIP STUDIOセッション。
2・5・7・11・12曲目です。
(詳しくは、赤川新一氏レコーディング解説。)
この3種の聴き比べこそが、「さよならtoday」のオーディオ的醍醐味ではないでしょうか?
■「さよならtoday」のHD層(SACDの高密度信号層)
SACDハイブリッド盤ですので、SACD再生可能プレーヤーならばHD層のハイクオリティ音質
が楽しめます。
エンジニアは、赤川・小泉両氏という完璧な布陣。加えて、高音質化技術陣もFINEQレーベル
初のSACDを完璧にフォローしました。
RCC社の特殊レゾナンス・チップ"Moon"を始め、オリジナル電源ケーブルRCC−Z、未発売
の電源タップや"RS-SQUARE"のプロトタイプもレコーディングに導入。そしてATELIER es 社のマスターチューンも、高音質CD−Rに引き続き採用しました。
高域のホコリっぽさは皆無、非常にヌケが良く"ガツン"とくる音が、FINEQ−SACDの特長で
す。
■「さよならtoday」のCD層(既存のCDプレーヤーで読み取り可能な層)
SACDハイブリッド盤ですので、CDプレーヤーでも楽しめます。
FINEQ-SACDでは、このCD層をオマケとは考えておりません。
『emm LaboのDAコンバーターからSTUDER D-19という「中低域の質感がしっかりしているAD」
に送り、PCM44.1kHz /16bitのCD用マスターを製作している。』(レコーディング解説より。)
一般的なDSD→PCMのデジタル上ダウンコンバートではなく、アナログ信号を経由した手法
をあえて採用しました。さらに、こうして製作されたCDマスターを、プレス製造工程で音質劣化 せぬよう入念な注意を払っています。
その結果、実際に比較試聴してもマスターCDに匹敵する音質が得られました。
「さよならtoday」は、オーディオ試聴CDソフトとして充分に活用できる高い実力を持っていま
す。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
■「さよならtoday」のオーディオ的聴きどころ
※特にオーディオ試聴向きの曲にはオススメ!!マークを付けてみました。
01.フェリーニ式マンボ PCM192kHz/24bit
マスタリング時、PCM録音とDSD録音の音質が馴染まなく、相当苦労したそうです。
そんな中、マスタリングエンジニア小泉氏があみだした新EQ法を堪能できるのがこの曲。
小泉氏曰く、「『さよならtoday』は、自分でもターニングポイントになった作品。」とのことです。
02.Money Jungle DSD 16ch multi オススメ!!
PCM録音のトラック1に続き、DSD録音のトラック2がスタートする瞬間、FINEQ-SACDの真の
音世界がスタートします。両方式の違いをはっきりと体感できるかどうかは、オーディオ的重要 チェックポイントです。
“SACD=やさしい音”といったイメージを持っている方に是非聴いていただきたいトラックです。
ウッドベースが強力にボトムをキープし、テナーサックスが生々しく歌い上げます。
03.Don't you honey me PCM192kHz/24bit
映画「偶然にも最悪な少年」の挿入歌。サントラ盤がCCCD規格で発売されています。
マスタリングエンジニアは違うものの、FINEQ-SACDとサントラ盤との比較試聴は興味深いもの
があります。
04.海の日の少女 A menina que nasceu no dia do mar DSD 8ch multi
パーシモンホールでのセッションです。
ウクレレも入った明るく楽しいこの曲は、オーディオのことなど忘れて楽しみたいものです。
05.It's good to say sayonara DSD 16ch multi オススメ!!
ミックス前に、この曲の断片を聴かせてもらいました。DSD録音の凄さを見せ付けられたよう
で、今も鮮烈な記憶として残っています。
私はオーディオ試聴のとき、この曲のソプラノ・サックスとアコースティック・ギターが、いかに自
然な音色に聴こえるかをチェックしています。
06.レクイエム DSD 8ch multi
メロディーを奏でているのは、アルト・クラリネット。悲しい曲調と絶妙のマッチングを聴かせてく
れます。
07.Mascara Maracas DSD 16ch multi オススメ!!
バリトン・サックスとウッドベースのバトル曲。
STRIP STUDIOのコントロール・ルームで録音とのこと。下図のように、この部屋は12畳(?)
くらいしかありません。
現場は、きっと低音の嵐!その再現が、オーディオでどれだけ可能かどうかがポイントです。
プレーヤーの気配や目配せなど、音からその時の雰囲気が伝わってくるのは、小さなスペース
での録音ならではでしょう。 STRIP 3F STUDIO
08.がんばれハル DSD 8ch multi
アルバム中、ドラムの音が一番好きなトラックです。このスネアの音の乾き具合やトップシンバ
ルのヌケの良さは、今までのPCM録音では聴けなかったように感じます。
DSD録音の特長かもしれません。
09.運命と偶然 PCM192kHz/24bit
バリトン・サックスとフルートのユニゾン曲。ARTWORKS STUDIOでのセッションです
10.Ninja PCM192kHz/24bit
不思議なコード進行。
ラフ・ミックスで聞いたときは難解曲でしたが、アルバムが完成してみると妙に納得した1曲。
アルバム中唯一、松本治氏のトロンボーンが聴けます。
11.永遠に存在する忍耐強い惑星 DSD 16ch multi オススメ!!
私のイチオシ曲。ソプラノ・サックスに続き、00:36秒以降で入ってくるパーカッション。
その最低音が"ズドーン"とくるのは、赤川録音の真骨頂です!
12.鉄の船 DSD 16ch multi
最後にミックスダウン&マスタリングされた曲です。
高音質化グッズの試作品が、この曲のみ間に合ったので使用しました。
そう思うと、微妙にソプラノ・サックスのニュアンスが違うようにも感じます。
以上、私の主観によるオーディオ的全曲解説でしたが、「さよならtoday」を入手された皆様が試聴される際、少しでも お役に立てば幸いです。 |